ミルクガニ(エゾイバラガニ)の基礎知識と旬や食べ方
画像引用元:マリンワールド電子辞典
カニの中には漁獲量が少なく、なかなか食べられない種類もいくつかあります。その中のひとつに「ミルクガニ」と呼ばれているカニがあり、ミルクガニは食べ物として他のカニとは少し異なった特徴をいくつか持っています。
今回は、ミルクガニについての基礎知識や美味しい食べ方などをご紹介します。
ミルクガニの基礎知識
ミルクガニの標準和名は「エゾイバラガニ」であり、「ミルクガニ」はいわゆる通称にあたるものです。身がバターのような芳醇な香りを放つことから、ミルクガニと呼ばれるようになりました。このミルクガニという呼び名は主な漁場である静岡県の焼津市を中心に広まりました。
現代ではこのカニを漁獲する船は少なく、その事実が漁獲量の少なさに影響を与えています。あまり市場に出回ることがないため希少なものではありますが、価格としては特に高いわけではありません。一般流通することは少ないカニですが、ミルクガニ料理を提供しているお店も国内にはいくつか見られます。
サイズは成熟したもので甲長20cmにもなり、カニの中では大きい部類に入ります。水深500mよりも深いところで生息しており、特別な機材がなければ捕まえることが難しいカニです。
ミルクガニの漁期や旬
ミルクガニの旬は、11月〜2月の間といわれています。ただし、漁獲している船が少ないため、ミルクガニは旬の時期に多く市場に出回るというわけではありません。
また、ミルクガニの漁期は5月中旬までです。それから秋まではミルクガニが市場に出回ることはほとんどありません。通販でも市場に出回ることが少ないため、個人的に手に入れるには継続的に情報収集をすることが必要になります。
ミルクガニの味の特徴
ミルクガニの身は、カニの中でも特に甘みが強いといわれています。メスよりもオスの方が長い脚を持っており、身も多く詰まっています。口に入れると独特な香りがするため、「他のカニではなかなか味わうことができない美味しさである」といった声も多く聞かれます。
ミルクガニのカニ味噌については、食用に向いていないとされています。食べられないことはありませんが、毛ガニやズワイガニなどの芳醇なカニ味噌と比べると、あまり美味しくないといわれています。
また、殻にトゲが多い点にも注意が必要です。食べる際に口や手を怪我してしまう恐れがあるため、自分で調理する際にはできるだけ身を食べやすいように下処理しておくことが大切です。
ミルクガニの美味しい食べ方
ミルクガニは、「焼きガニ」や「蒸しガニ」として食べられることが多いです。体内に多くの水分を有しているため、茹でガニにはあまり向いていません。焼きガニにする際には、強火で短時間焼くと、さらに旨みや甘みが濃厚になります。
しゃぶしゃぶもミルクガニを美味しくいただける代表的な料理です。昆布でだしを取った鍋にミルクガニを入れると、ミルクガニは見た目の透明感と甘みが増します。
また、芳醇な香りや味を活かして味噌汁や鍋などの汁物にすることも多いです。汁物であればもともとの水分が抜けてもダシとして汁に全て溶け込むため、ミルクガニの良さをしっかりと活かすことができます。
ミルクガニのメスの中には内子を持っているものも見られますが、そもそもメスの漁獲量が少ないため、内子を食べられるケースは稀です。内子の味も質が高いといわれていますが、希少価値の高さから内子は「幻の味」といわれています。
おわりに
ここまで、ミルクガニの基礎知識や美味しい食べ方などについて紹介してきました。あまり知名度が高くなく、手に入れることが難しいカニではありますが、価格の安さや希少さからミルクガニを求める方も少なからずいるようです。しっかりと情報収集すれば手に入れることも不可能ではないため、興味を持ったのであれば情報収集するところから始めていきましょう。