意外と知らないカニが泡をふく理由

意外と知らないカニが泡をふく理由
蟹の特徴、というと皆さんが思い浮かべるのはどんなことでしょうか。横に歩くことや、茹でると赤くなることなど、変わった特徴が多いのが蟹という生物です。そんな特徴のなかの一つとして、「泡をふく」というものがあります。特に小さな蟹が泡を吹いている姿は、映像などを通して見たことがある人も多いでしょう。では、そもそも蟹はなぜ泡を吹くのでしょうか。ここでは、意外と知らない蟹が泡を吹く理由についてご紹介します。

蟹の体の構造は?

蟹が泡を吹く理由について知るためには、まず蟹がどのような生物なのか?ということについて知らなければなりません。第一に、蟹は陸の生物なのか、それとも水中の生物なのか、ということが重要です。海浜などで見かけることも多いため、陸にいるイメージが強い生物でもあるのですが、蟹は元々水中で生活をしている生物です。そのため、体の構造についても水中で生活することが前提として作られています。
では、陸上生物と水中生物ではどのような点が違っているのでしょうか。最も大きな違いがあるのが「呼吸器」の違いです。我々人間を含む陸上生物は、水中では呼吸をすることができません。対して蟹を含む水中生物というのは、逆に陸上では呼吸ができない体の作りとなっているのです。
魚は口ではなくエラで呼吸をしていることが有名ですが、実は蟹もエラで呼吸をしている生物です。どこがエラなのか分かりにくいのですが、脚の付け根から生えている部分がエラとなります。「ガニ」と呼ばれており、非可食部であるため食べる時には必ず切り取るようにしましょう。

水中生物の蟹が陸上で呼吸をしているのはなぜ?

では、水中生物でありエラ呼吸をしているはずの蟹が陸上でも活動しているのを見るのはなぜなのでしょうか。その理由がまさに今回の本題である「泡を吹く」ということにつながっています。エラ呼吸の生物の場合、水に含まれている酸素を取り込んで呼吸をするという方法が採られています。陸上に出ると空中の酸素を取り込むことができません。エラが乾燥してしまうと完全に呼吸ができなくなってしまうわけです。
これに対応するために蟹には出水孔という小さな孔を持っています。これはエラと直接つながっている器官で、泡はここから出されています。泡、つまり水分をここから放出し、外気に触れさせることで空気中の酸素を泡に含ませて、もう一度体内に戻すことで陸上における呼吸を可能としているのです。

蟹が泡を吹くメカニズム

蟹が呼吸のために泡を吹いている、というのは分かっていただけたと思います。ただ、これだけだと、なぜ体内の水分を放出すると泡になるのか、というところが分からないのではないでしょうか。
これは、体内に含まれている少ない水分を何度も再利用していることが理由です。実際、水から出た直後の蟹は泡を吹くのではなく、水を放出して呼吸をしています。何度も水の出し入れをしていると、蟹のエラに含まれている粘膜の成分が水に混じって粘り気を持つようになります。粘り気を含んだ水を放出することで、ちょうどシャボン玉を作るように泡が発生するわけです。
さらに、全ての蟹が泡を吹くわけではありません。中には陸生種と呼ばれる種類の蟹も存在しています。これらの蟹は長時間乾燥していても活動することができるように進化しているため、陸上でも泡を吹くことはありません。

おわりに

ここでは意外と知られていない蟹の泡について紹介してきました。肺呼吸とエラ呼吸を備えた両生類とは違ったアプローチで陸上での呼吸を可能としているのは、生物の進化の神秘を感じるものです。水辺に行った際には、改めて観察してみてください。

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