ズワイガニとタラバガニの足の数は何本?種類によって違うカニの足の本数

年末年始のごちそうと言えば、そのまま食べるも良し、しゃぶしゃぶやステーキで堪能するも良しのカニですが、種類によって足の本数が違うことをご存知ですか?
たとえばズワイガニには10本の足が見られますが、タラバガニは上から見ると8本しか足を確認することができません。実は他にも、8本しか足を持たないカニは何種類か存在しています。
そこで今回は、種類によって違った本数に見えるカニの足について紹介していきます。
カニの足は10本足

一般的なカニの仲間は、お腹側から「5対10本」の足が左右に生えています。一番前の2本にはカニの象徴とも言える「ハサミ」が存在しており、エサを取ったり外敵を威嚇したりするために使用されます。
残りの8本の足は、主に「歩行」のために使われます。足の先は1本のツメのようにするどく尖っており、海底の砂や岩などに引っ掛かりやすくなっています。
それぞれの足の付け根は近い場所に存在しているため、少し動かすと足同士がぶつかってしまうこともあります。そのため、一般的なカニの仲間は足を前後には動かしにくく、横歩きによって移動することが多いのです。
具体的な種類としては、「毛ガニ」や「ズワイガニ」などが一般的なカニの仲間にあたります。毛ガニとズワイガニには異なった特徴がいくつか見られますが、元々の祖先は同じ生物であると考えられています。
タラバガニの足の数は8本?

タラバガニの足は上から見ると8本のように見えますが、実は残り2本の足は甲羅の中に隠されています。甲羅の中に隠されている足は一番後ろの左右2本であり、他のカニと比べるとサイズも小さくなっています。タラバガニはお腹の中のゴミを外に排出するなど、この小さな足を甲羅内の掃除のために使用しています。
足の数自体は他のカニと変わりがありませんが、足のサイズや他にも異なった特徴がいくつか見られることから、タラバガニはカニではなく「ヤドカリの仲間」とされています。
ヤドカリの足も8本しか無いように見えますが、実はヤドカリにも貝殻の中に残り2本の足が隠されています。また、タラバガニは「縦に移動する」ことが確認されており、これも一般的なカニの仲間にはあまり見られない特徴です。
タラバガニと一般的なカニの仲間は、異なった祖先から進化した生物であるため、このような違いが生じたと言われています。タラバガニとズワイガニのように本来系統が異なっている生物が、よく似た環境や生態を持つことによって似た形態へと進化することを、「収斂(しゅうれん)」と言います。
タラバガニは本来ヤドカリの仲間であるのにも関わらず、生活環境やエサなどが似たことから、ズワイガニに似た形態へと進化したと考えられています。収斂には他にも「イルカとサメ」や、「鳥とコウモリ」などの例が見られます。
タラバガニ以外のヤドカリの仲間
タラバガニのように名前に「カニ」と付いていながら、ヤドカリの仲間に属するものは他にもいます。具体的にはたとえば、「ハナサキガニ」や「ヤシガニ」などを挙げることができます。ハナサキガニやヤシガニも、タラバガニやヤドカリと似た特徴をいくつか持っています。
世界には約5,000種のカニが存在していますが、国内ではヤドカリの仲間に属しているカニの種類はあまり多くありません。日本でよく漁獲されている「ワタリガニ」も、一般的なカニの仲間に含まれています。
また、ワタリガニのように海を渡るカニの足には、「ヒレ」のようなものが付いていることがあります。このように、世界には独自の進化を遂げたカニが何種類も存在しています。
おわりに
ここまで、カニの足の数について紹介してきました。タラバガニなどの隠れている足を普段見ることは難しいですが、甲羅を外してみると素人でも確認することが可能です。興味が湧いた方は、実際に甲羅を外して他のカニとの違いを確認してみましょう。