カニにも食べられない部分がある!カニのガニを食べてはいけない理由

カニは身だけでなく、味噌も食べることができる食べ物です。甲羅を開いて味噌を好んで食べる方も少なくありませんが、実はカニには食べることができない部位もあります。それは、「ガニ」と呼ばれている部位です。
ここでは、食べてはいけないといわれる「ガニ」についてご説明します。
カニは食ってもガニ食うな。ガニの正体は?

カニの甲羅を外すと、内側の両サイドに「三日月型」のひらひらしたスポンジのようなものが並んでいます。これはカニのエラにあたる部位であり、通称「ガニ」と呼ばれています。
ガニは水中の酸素をとりこむ際にフィルターの役割を果たしている器官であり、魚のエラ同様、常に外水にさらされています。そのためガニには雑菌が多く、寄生虫が付着していることも珍しくありません。
また、全ての部位の中でも特に腐敗が早く、獲れてからある程度の時間が経過すると、黒く変色していきます。
魚の場合は身を開くことなくエラを切り取ることができますが、カニの場合は甲羅を外さなければガニを取り除くことはできません。そのため1匹丸ごと購入するカニには、ほとんどガニがついています。
昔はこのガニを食べて食中毒の症状を起こす人が多くいました。そのため辞書にまで『カニは食ってもガニ食うな』ということわざが載っているほど、ガニは食べるべきではない部位として扱われてきたのです。
ガニに付着している恐れのある食中毒菌と寄生虫

ガニに付着している可能性がある細菌としては、「腸炎ビブリオ」を挙げることができます。近海産の魚介類のエラや内臓などに付着していることが多く、この腸炎ビブリオによる食中毒の発生件数は少なくありません。
腸炎ビブリオによる食中毒の症状としては、「腹痛」や「下痢」などが挙げられます。特に腹痛はさしこむような激痛で、猛烈な苦しさを伴うといわれています。また、下痢が何度も続くため、脱水症状を併発してしまったケースも見受けられます。
抗生物質の投与などによって2~3日で回復するケースがほとんどですが、水のような便が正常に戻るまでには約1週間かかります。寄生虫の中でリスクが高いのは、サワガニやモクズガニなど淡水性のカニに寄生する「肺吸虫」です。成虫は体長1cm前後のレモン型をしており、名前の通り肺に寄生する吸虫です。
この虫が人の肺に寄生すると、咳や血痰が出たり、胸水が溜まったりします。エックス線検査では、肺吸虫が定着した部位が影として映るため、「結核」や「肺がん」と間違われることもあります。抗寄生虫薬で治療できますが、人の脳へと侵入することもあるため、体内に入らないように細心の注意を払わなくてはなりません。
ガニを食べるとどうなる?
現代では鮮度管理技術が向上し、活カニ以外は水揚げされたらすぐにボイルされるため、ガニが腐っていることはほとんどありません。ガニ自体に毒性があるわけではありませんし、細菌や寄生虫が死滅していれば、食べても大きな問題は生じないでしょう。
しかしガニは消化が悪く、栄養も特にありません。さらにモサモサとした食感であり、味も身や味噌に比べると質が高いとはいません。効果的な調理法も無いといわれていますし、無理に食べたところで特にメリットはないのです。
また、どんなに新鮮でも、食べれば腹痛や下痢など、食中毒症状を引き起こす可能性はゼロではありません。カニを食べるときや料理をする際には、なるべくガニはキッチンばさみなどで取り除いてしまうことが望ましいでしょう。
おわりに
ここまで、カニのガニについて紹介してきました。どのような種類のカニであっても、ガニを食べることにメリットは無いといわれています。それどころか食中毒などのリスクが存在する部位であるため、「もったいない」からといって食べることは避けるようにしましょう。