タラバガニはカニじゃない!?ヤドカリの仲間って本当?

食材としては「カニの王者」とも呼ばれているタラバガニ。しかし、実は生物学上ではカニとしては扱われていません。
タラバガニは「ヤドカリ」の仲間に分類されており、花咲ガニやヤシガニなど、名前にカニと付いていながらヤドカリの仲間であるカニは何種類か存在しています。ここでは、タラバガニと他のカニの違いなどについて紹介していきます。
タラバガニと他のカニはここが違う

タラバガニと他のカニの違いで分かりやすいのは、「脚の数」です。ズワイガニなどカニの仲間はハサミを含めて「5対10本」の脚を持っています。一方、タラバガニは外側からは「4対8本」しか確認することはできません。これは、ヤドカリの仲間に共通する特徴です。
また、通常のカニは横方向にしか移動できないことが一般的ですが、タラバガニなどヤドカリの仲間は「縦」に歩くこともできます。このようにタラバガニと他のカニにはいくつか違いが見られますが、大きく分けると同じ「十脚目(じっきゃくもく)」という仲間に属しています。
十脚目とは頭胸部と腹部に身体がはっきりと分かれており、10本の脚を持っているように見える生物のことを指し、エビやヤドカリなども十脚目に含まれています。
タラバガニの進化の過程

十脚目に属しているさまざまな生物は元々、エビから進化したと考えられています。エビは「クルマエビの仲間」や「伊勢エビの仲間」など、古くから複数の種類が存在していたため、ヤドカリやタラバガニ、ズワイガニなどのように多様に進化していきました。
ズワイガニなどカニの仲間に属しているカニは、エビの長いお腹の部分の筋肉が無くなり、その部分が折り畳まれるように進化を遂げました。この部位は、今では「ふんどし」と呼ばれています。一方ヤドカリの仲間は、お腹の部分を巻貝の殻にもぐり込ませ、貝殻を背負うように進化しました。
脚の数に関しては、元々の祖先であるエビから特に大きな進化を遂げたわけではありません。実はヤドカリもタラバガニも10本の脚を持っており、外からは見えなくなっているだけなのです。ヤドカリは一番後ろの2対4本の脚を貝殻に隠しており、タラバガニの脚も後ろの2本が甲羅の下に隠れています。サイズ的にはズワイガニなどと比べて小さくなっていますが、脚そのものが進化の過程で無くなったわけではありません。
また、ヤドカリとタラバガニには「左右のハサミのサイズが異なる」といった共通点も見られます。ヤドカリは貝殻に引っ込んで身を守る際に、片方のハサミで貝にフタをします。しっかりとフタをするために、片方のハサミが大きくなりました。
他にも、タラバガニの目はヤドカリに似て目が真ん中に寄っているなど、タラバガニとヤドカリにはいくつかの共通点が見られます。そのため、タラバガニはヤドカリの仲間であると考えられているのです。
他のカニとの味の違い
タラバガニと他のカニとの食材としての違いは、「カニ味噌」を食べるか否かです。タラバガニのカニ味噌は食べられないわけではありませんが、一般的には食べないものとされています。他のカニの味噌との具体的な違いとしては、量が少ないことや痛みやすいこと、加熱しても固まりにくいことなどが挙げられます。
身の肉質や味にも違いが見られます。タラバガニの身は他のカニと比べると「弾力が強く」、足が太いために同じサイズのものでも食べごたえがあります。味に関しては「タンパク」であり、あっさりとした甘味になっています。
おわりに
ここまで、タラバガニと他のカニとの違いについて紹介してきました。タラバガニと他のカニの違いは一目では分かりづらい部分もあるため、カニの仲間であると誤解している方も多く見られます。しかし、細かく見ていくと素人の目でも違いを確認することができるため、興味を持った方は自分の目で確かめてみましょう。