佐賀県の名産カニ、竹崎カニとは?竹崎蟹の旬や解禁日

近年、各地でカニのブランド化が進められています。ここでは、そんなご当地カニのひとつ、佐賀県の「竹崎カニ」についてご紹介します。
竹崎カニとは?
竹崎カニは、有明海に面した佐賀県の太良町(たらちょう)竹崎地区の近海でとれる、ワタリガニ(別名ガザミ)の一種です。ガザミは有明海、瀬戸内海、日本海で多く漁獲されます。甲羅は青みがかったオリーブ色、横長の菱形で、大きいものでは幅が30センチ近くもあります。エビ目・カニ下目・ワタリガニ科に分類され、食用として需要の高いカニです。
地域によっては同じワタリガニ科のイシガニを「ワタリガニ」と呼ぶ場合もあります。一番後ろの脚は板状になっていて、泳いで魚から逃げることができます。産卵期は春と秋の2回で、約200万個もの卵を産みます。
稚ガニは干潟や藻場に定着して成長し、成長とともに水深の深い場所へと生息場所を移します。また、卵から稚ガニまで養殖し、それを放流して天然資源を補う取り組みもなされています。
竹崎カニの美味しさのヒミツ

竹崎カニが美味しい理由は、生息地である有明海にあります。太良町沖の干満の差は6メートルと、日本一を誇リます。干潮になると姿を現す広大な干潟には、小魚やエビ・カニ・ゴカイなどの小動物が多く生息しています。直接太陽の光が降り注ぐ環境でプランクトンや小動物は豊かに育ち、竹崎ガニはその栄養たっぷりの餌を食べて育つため、豊かで深い味わいが楽しめます。
さらに、捕獲後の保存方法にも美味しさのヒミツが隠されています。網やかごを使って捕獲した竹崎カニは、すぐに鋭い歯が並んだはさみの先の一部分が切り取られます。こうすることで、保存している間に甲羅に傷がつくのを防いでいるのです。地元の人たちの手間と工夫も、竹崎カニの美味しさと品質を支えています。
オスとメスで違う竹崎カニの旬
竹崎カニは、ズワイガニやタラバガニのように漁期が定められていません。したがって禁漁期も解禁日もなく、一年を通していつでも味わうことができます。
そして一年の中でも、オスは夏から秋にかけての時期が最も味が良いとされています。この時期にとれるオスは甘みを増し、かに味噌にもコクがあります。
一方のメスは、冬から春が旬とされています。この時期のメスは身の旨みが濃厚で、内子(卵)がたっぷりと詰まっています。季節ごとに違った味わいが楽しめるのも、竹崎カニの魅力です。
料理によって表情を変える竹崎カニの魅力

有明海で育った竹崎カニの濃厚な味わいを最大限に堪能できる料理法は、シンプルな塩茹でです。通称「姿煮」と呼ばれ、地元でも最もスタンダードな食べ方です。
通常、茹でたカニを食べるときは酢醤油やタレをつけないと物足りなさを感じるものですが、竹崎カニは濃厚な味わいがあるため、塩茹でするだけで十分であると言われています。ひとくち食べれば、程よい塩味の中に凝縮された甘みと旨みが押し寄せます。
他にも、みずみずしくプリっとした食感の刺身は、塩茹でとはまた違ったやさしい甘みが楽しめますし、歯ごたえのある炭火焼きや、天ぷら、雑炊、釜飯など、料理の幅も広く、調理方法によって食感や味わいの印象もがらりと変わります。
また、脱皮したての柔らかいカニの天ぷらは、地元でも貴重とされる最高の珍味で、はさみや脚、殻まで丸ごと食べられます。さらに甲羅についた味噌に熱い日本酒を注いで飲む甲羅酒も絶品と言われており、地元の人たちに愛されている味わい方となっています。
おわりに
地元の太良町には、竹崎カニの専門店が10軒以上あり、カニ料理でもてなす温泉旅館や民宿も充実しています。全国的にはまだ知名度の低い竹崎カニですが、味への評価は高く、注目すべきご当地カニの一つと言えるでしょう。